ワタミ株式会社 渡邉 美樹様インタビュー | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ | ページ 3

わが経営論

ワタミ株式会社 渡邉 美樹様インタビュー

※下記は経営者通信3号(2009年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―やはり理念の共有が大事なんですね。ワタミでは、どんな方法で理念を共有しているんですか。

様々な方法を使っています。社長の仕事は、社員と理念を共有することに尽きると思います。私の仕事の半分は、社員と理念を共有するために使っています。まず4,000名以上いる全社員に対して3ヶ月に1回、理念研修会を行っています。研修会では、社員たちと「ワタミの理念をどうやって実行に移すか」についてとことん話し合っています。この理念研修会は非常に大事で、理念研修会なくして、ワタミは機能しません。

また、いつでも社員が理念を思い起こせるように「理念集」という小冊子を全社員に配布しています。他にも、月に一度、全社員に向けてビデオレターと手紙も送っています。そして、現在のワタミがあるのは、社員の家族の支えがあってこそです。ですから、社員の家族に“ありがとう”という感謝の想いを伝えるため、ご家族にプレゼントも贈っています。たとえば父の日には社員のお父様にラベンダーを、母の日には社員のお母様にカーネーションを贈っています。

―社員が4,000名もいると、理念を共有するのは難しくありませんか?社員数が少ない頃は、社員と1対1で話し、理念を直接伝えられたと思いますが。

 

たしかに社員数100名までは、私が全社員と直接話をして、理念を共有していました。しかし、今の規模では私が全社員と直接話すことは物理的に難しい。

だから、今では私に代わって主に幹部社員が現場社員に理念を伝えてくれています。また、先ほどお話しした理念研修会や理念集など様々な手法を駆使して、社員数が増えても、社員数100名の頃と同じく、全社員と理念を共有できるように心がけています。

また、私が社員と理念を共有するのは、売上を向上させるためではありません。会社の存在意義や価値観を社員と共有するためです。いったいワタミは何のために存在するのか。ワタミで働く社員はどんな価値観で仕事をするべきなのか。これは私自身が心の底から社員と共有したいと思うことです。

だから私自身、理念の共有が大変だと思うこともないし、苦になることもありません。私は25年間に渡って社員と理念を共有し続けられました。きっと売上向上を目的にしていたら、こんなに長くは続けられなかったでしょう。

―多くの企業では、立派な理念があっても、額に飾られたままになっています。どうすれば理念をただの“建前”でなく、実効性のある“行動基準”にできるのでしょうか。

まず経営者自身が「覚悟」することです。理念と自分の行動を100%一致させる。その覚悟が必要。特に中小企業では、経営者の姿が社員からよく見えます。どんなに経営者が立派な理念を掲げていても、そこに嘘が見えれば、社員は理念を共有してくれません。たとえば「社員の幸せ」を理念に掲げておきながら、経営者が会社の経費で飲み歩く。公私混同の経費請求をする。そんなことをしていたら、社員は誰もついてきません。立派な理念も、それでは絵に描いたモチになってしまう。

経営者は24時間365日、理念通りに生きなければいけません。経営者は自らの価値観を厳しく問われる存在なんです。どんな価値観で会社を起業したのか。どれだけ深い覚悟を持って会社を経営しているのか。社員と理念を共有したいなら、経営者は、まず自らの覚悟を問い直すべきでしょう。

―最後に、全国の経営者へアドバイスをお願いします。この不況下、経営者はどんな心構えで経営にあたるべきでしょうか。

2つあります。1つ目は、自社の業績不振を“不況のせい”にしないこと。現在のような厳しい経営環境では、つい「不況だからウチの会社の業績も悪くて仕方がない」と言い訳をしてしまいがちです。しかし、イチ企業の努力で景気はどうしようもありません。経営者は現在の不況を前提として受け入れ、知恵を絞って自ら活路を見出すべきです。

2つ目は、ゼロベースでビジネスを組み立てること。いま企業を取り巻く環境は激変しています。それにも関わらず、10年前と同じ商品・販売方法のままでは成功するはずがありません。経営者の仕事は“変化対応業”です。環境の変化に対応して、ゼロベースでビジネスを組み立てる。これが企業の生き残るカギです。厳しい時期だとは思いますが、現在の不況を素直に受け入れ、ゼロベースの発想でビジネスをお客様の視点で変化させる。これを徹底すれば、経営者は不況を恐れることなどありません。

渡邉 美樹プロフィール
1959年、神奈川県生まれ。小学校5年生の時、父親が会社を清算。その悔しさをバネに「将来は社長になる」と決意。1982年に明治大学卒業後、会社経営に必要な経理を勉強するため、ミロク経理に入社。その後、佐川急便で1年間働き、起業資金300万円を貯める。1984年に有限会社渡美商事を設立、「つぼ八」の店を買い取りフランチャイズオーナーとして起業。1996年に店頭公開、2000年3月には東証一部上場を果たす。「外食」以外にも「介護」「農業」「環境」各事業を拡大展開中。2003年に「学校法人 郁文館夢学園」の理事長、2007年に「医療法人 盈進会病院」の理事長に就任し、学校・病院の経営に取り組んでいる。その他、日本経団連理事、NPO法人「スクール・エイド・ジャパン」の理事長も務める。

企業情報

企業名ワタミ株式会社
創業1984年4月
設立1986年5月
資本金4,410,280千円(2008年9月30日現在)
売上高111,291百万円(2009年3月期)
従業員数4,029名(グループ計)(2009年4月1日現在)
事業内容外食事業、介護事業、中食事業、農業事業、環境事業、MD事業

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