マネックスグループ株式会社 松本 大様インタビュー | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ

わが経営論

マネックスグループ株式会社 松本 大様インタビュー

Vol.05

マネックスグループ株式会社 代表取締役社長 松本 大

2008年10月の世界金融危機以降、日本経済は不安定な状況が続いている。そこで今回は、金融界の論客であるマネックスグループ代表の松本氏に取材を申し込んだ。松本氏は31歳の時、当時史上最年少でゴールドマン・サックスのゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。90年代のウォール街を最もよく知る経営者のひとりである。果たして、今回の世界金融危機とは何だったのか。日本の景気はいつ回復するのか。世界経済の盟主アメリカの地位は揺るぎないのか。松本氏の経営論も交え、大いに語ってもらった。

※下記は経営者通信5号(2010年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―松本さんは1987年から1999年まで外資系投資銀行でご活躍されていたそうですが、今回の世界金融危機をどのように捉えていま すか。

今回の金融危機は市場の波のひとつです。私は外資系の金融機関で12年ほど働いてきましたが、その間にも様々な波がありました。それらの波と今回の金融危機は、構造的には同じです。ただ規模が大きかっただけ。世の中では資本主義の構造的変化を指摘する声がありますが、それは少し的外れだと思います。

―「強欲資本主義の限界」などという批判はあたらないと。

いろいろ批判はあるでしょう。アメリカの投資銀行が儲けすぎていた。役員や従業員に高額な給与を払いすぎていた。業界全体のモラルが低下していた・・・。たしかに、ほとんどの批判は正しいと思います。

でも、これらの批判は今に始まったことではありません。サブプライムローンのような問題も初めて起きたわけじゃない。たとえば20年ほど前、アメリカでS&L(貯蓄貸付組合)の不良債権問題がありました。あるいはジャンクボンド市場の隆盛と崩壊。「ジャンクボンドの帝王」と呼ばれたマイケル・ミルケンは、後にインサイダー取引で有罪判決を受けました。それらの時とあまり違いはないですよ。当時も投資銀行のあり方、ウォール街のモラルが問題になりました。つまり、問題の構造は昔から変わっていない。だから、「100年に1度の大不況」だと恐れる必要はありません。

―2007年以降、日本の新興市場に元気がありません。IPO企業数は減少し、株価も低迷を続けています。この状況についてはどう思 いますか。

IPOに関しては、この10年間でもっとも厳しいですね。当社が東証マザーズにIPOしたのは2000年。その年のIPO企業数は204社です。その頃に比べると、2009年のIPOマーケットは惨憺たる状態です。新規上場数はわずか19社。この10年間で最少です。

ただし、もう少し長いスパンで考えれば、決して悲観する必要はありません。たとえば、私が就職した22年前にさかのぼって考えましょう。当時は本格的な新興市場自体、日本に存在すらしてしなかった。IPOのハードルも非常に高かった。すなわち、この四半世紀で捉えればIPO環境は格段に良くなっている。現在の新興市場の低迷も一過性のものでしょう。いずれ回復します。もし、新興市場がこのまま低迷を続けるならば、私たちが良くしなきゃいけません。

―この不況はいつ頃に回復するのでしょうか?

今年の後半には回復すると思います。どんなに遅くとも、来年には回復するでしょう。昨年、多くの企業でリストラをはじめとしたコストカットが終わりました。いまは多くの企業のバランスシートがきれいになっています。もうそろそろ、企業の業績は回復するでしょう。

ただし、景気や株式市場は国の政策の影響を受けます。今年のポイントは夏の参議院選ですね。そこで民主党が勝てば、3年間は安定政権ができる。衆参両院で民主党が単独過半数を占めますから。そうなれば、いろんな政策が実現できます。

政党は選挙に勝つまでは、場当たり的な政策しか訴えません。でも安定政権に入れば、長期的なビジョン、政策を訴えるようになる。株式市場は長期的な政策を評価するので、株価にも良い影響を及ぼすと思います。

※S&L(貯蓄貸付組合):住宅用不動産の抵当貸付を手がけるアメリカの貯蓄金融機関のこと。1980年代の規制緩和により、不動産関連融資やジャンクボンド投資を積極的に行ったが失敗し、多くのS&Lが経営危機に陥った。
※ジャンクボンド:債権回収の可能性が低いとみなされる債券のこと。通常の債権よりも信用が低い分、利回りが高い。アメリカの投資銀行家マイケル・ミルケンがジャンクボンドの有用性に目をつけ、その市場を開拓した。

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