NSGグループ 池田 弘様インタビュー | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ | ページ 3

わが経営論

NSGグループ 池田 弘様インタビュー

※下記は経営者通信8号(2010年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―なぜ個人資産をつぎこんでまで、経営を立て直そうとしたのですか?ワールドカップの試合開催が決定したのを機に、チームを解散させる選択肢もあったと思うのですが。
この地域を活性化させるためには、「アルビレックス新潟」が必要だと思ったからです。新潟県民の精神的支柱となるシンボルが必要だと。そんな想いを訴えるため、私は県内をくまなく回りました。「新潟を盛り上げるためには地元のプロチームが必要です。ぜひサポーターになってほしい」と頭を下げ、後援会に入ってもらうようにお願いしたんです。その結果、県内に40もの後援会を結成することができました。

―その方法でチームの経営を立て直すことができたのでしょうか?
後援会の拡大は地道な活動です。当時はサッカーというスポーツへの理解も乏しく、私たちの主旨に賛同してもらうのに苦労しました。また、当時の新潟にはスポーツ観戦にお金を払う習慣がありませんでした。

そこで、まずはスタジアムに足を運んでもらおうと考えました。採算を度外視して、無料招待券を大量に配布したんです。もちろん、やみくもに招待券を配ったわけではありません。自治会の回覧板で希望者を募ったり、学校経由で子どもたちに往復はがきを渡すなど、様々な工夫をしました。

その結果、4万3,000人を収容できるスタジアムがほぼ満員になったんです。その光景は壮観でしたね。スタジアムが満員になると、一体感があってしびれるくらい興奮します。きっと満員のスタジアムに足を運んだ人たちは、新潟の地域愛を再確認できたんじゃないでしょうか。それ以降、無料招待券の配布を減らしても、スタジアムはチームカラーのオレンジで埋め尽くされるようになりました。

―遂に経営再建を果たしたわけですね。
ええ。現在、「後援会」と「サポーターズクラブ」の会員数は、合わせて約1万5,000人。これはJリーグの中でもダントツトップの数字です。そして、この方々が年間のシーズンパスを購入してくれる。だから「アルビレックス新潟」は不況にも強いんです。不況で広告収入が減っても、財務基盤は揺らぎません。

―池田さんは関東ニュービジネス協議会(NBC)の会長も務め、これまでに数多くの経営者を見てきました。「逆境を突破できる経営者」の条件は何だと思いますか?
3つあると思います。1つ目は、強い気持ちを持つこと。「この壁を乗り越えなければ、自分の人生はない」。それぐらいの気構えで経営にあたることです。そして「必ず解決する道はある」と自分を信じて、絶対にあきらめないこと。私自身、そうやって逆境を乗り越えてきました。2つ目は、貪欲に学ぶこと。他社が逆境を乗り越えている理由を学ぶことです。ファーストリテイリング、ニトリ、エービーシー・マート・・・。彼らは不況でも勝てるビジネスモデルを構築しています。また、儲からないと言われた農業でも利益を出している会社もあります。そういった優れた他社から貪欲に学ぶことが大事です。業種・業態は関係ありません。2つ目は、本質を見極めること。仮説と検証をくり返し、市場の本質的なニーズを掴むことです。たとえば手前味噌になりますが、不況でもNSGグループのダメージは少ない。その理由は、学校経営の本質を明確に掴んでいるからです。

―学校経営の本質とは何ですか?
学生たちに「ナンバーワン・オンリーワンの教育」を提供することです。たとえば、サッカーの専門学校は国内ナンバーワン。スキー・スノーボードの専門学校は国内オンリーワン。介護系の専門学校は世界トップクラスのスウェーデンの学校と提携しています。だから、私たちは地方というハンデを克服し、首都圏の学校との熾烈な戦いに勝っているんです。実際、当グループの学生の15%は県外から来てくれています。この割合は他の地方の学校と比較すると、圧倒的に多いですね。

―NSGグループは1976年の設立以来、増収増益を続けています。企業を継続的に成長させる秘訣を教えてください。
経営者自身が“人間の幸せ”を真剣に想うことじゃないでしょうか。この気持ちがないと、いつか道を踏み外します。ビジネスの目的は金儲けじゃありません。人間の幸せを追求すること。それがそのまま市場のニーズに応えることにもなるんです。この30年間、私は数多くの経営者が失脚していくのを見てきました。その多くはお金儲けだけを目指した結果、失敗してしまった。たとえば、法律にはグレーゾーンがあります。そのグレーゾーンを経営者がどう判断するかは、人間性に関わってくる問題です。白とも黒ともとれる状況の中で、あえて正しい方を選ぶ人かどうか。そこが問われるんです。最終的には「どう生きるか」という経営者の心構えにかかってくる。だから、経営者はいろんな人と会って、人間性を磨いていくしかありません。私も死ぬまで勉強だと思っています。

池田 弘プロフィール
1949年、新潟市生まれ。國學院大學で神職を学んだ後、1977年に愛宕神社の宮司となる。同年に新潟総合学院(NSGグループ)を開校し、理事長に就任。NSGグループは29校の専門学校、大学院大学、大学、高校、学習塾、医療法人、社会福祉法人、資格検定試験事業、出版事業などを運営する教育・医療・福祉グループに成長。1996年、アルビレックス新潟の代表取締役に就任。2003年にJ2でリーグ優勝、翌年にJ1昇格を果たし、地域を巻き込んだ盛り上がりで新潟に新たな活力を生み出した。2006年、藍綬褒章を受章。現在はNSGグループ代表、アルビレックス新潟会長、関東ニュービジネス協議会会長などを務める。また「異業種交流会501」の会長として、起業家支援にも力を入れている。

企業情報

設立1976年11月
売上高330億円
従業員数約3,000名
事業内容・専門教育事業、高等教育事業、大学教育事業 ・学習塾事業、資格取得スクール事業 ・専門教材出版事業、資格検定事業 ・医療・福祉事業 ・起業支援、アウトソーシング事業、他

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