株式会社和田総研 代表取締役会長 和田 一夫 | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ

わが経営論

株式会社和田総研 代表取締役会長 和田 一夫

Vol.12

株式会社和田総研 代表取締役会長 和田 一夫

1997年9月18日、流通企業として当時最大の倒産が起きた。ピーク時に年商5,000億円を誇っていたヤオハングループの倒産だ。負債総額は約1600億円。同グループが展開していた世界16ヵ国、450の店舗は整理・売却され、グループ会長の和田一夫氏も経営の座を追われることに降りることにとなった。銀行融資の個人保証もあり、当時68歳の和田氏は一夜にして無一文となる。しかし、彼の経営者生命はここで終わらなかった。翌年に経営コンサルティング業務をスタートし、73歳で中国企業の経営戦略顧問に就任。82歳の現在も国際経営コンサルタントとして、日中両国で精力的な活動を続けている。今回は和田一夫氏に、苦境から復活する方法、中国進出のポイントなどについて聞いた。

※下記は経営者通信11号(2011年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―和田さんは熱海の八百屋からスタートし、約50年の歳月をかけて年商5,000億円の企業グループをつくりあげました。しかし、1997年にヤオハンジャパンが倒産。ヤオハングループの各社も整理・売却へと追い込まれました。和田さんの成功と失敗について聞かせてください。

もともと私は八百屋の2代目です。若い頃、私はアメリカの流通業に触発され、八百屋をスーパーに変え、静岡県内でチェーン展開を進めました。当事当時の私の夢は、ヤオハンを日本一のスーパーにすること。その夢を叶えるため、ブラジルを皮切りに海外16ヵ国に450店舗を展開、国内外に上場企業9社を設立しました。最盛期には年商5,000億円、従業員1万8,000人の企業グループをつくりました。これが私の成功体験です。しかし、1997年、ヤオハンジャパンは資金繰りに行き詰まり、倒産しました。これが私の大失敗です。私は倒産の責任をとって、全グループの役職を辞職。当事当時は粉飾決算の容疑にもかけられ、どん底の状態でしたね。そして自らの全財産を差し出し、ゼロからの出発を決意しました。

―なぜ年商5,000億円もの企業グループが短期間で倒産へと陥ったのでしょうか?

原因はいくつもあったと思います。そのひとつは、財務のチェック機能と危機管理がおろそかになっていたこと。倒産の直接的原因は海外事業ではなく、国内事業の不振にありました。つまり、海外事業という拡大路線そのものが失敗したわけではなく、拡大によって日本国内の守りを固めきれなくなっていたんです。他にも資金調達や同族経営など、いろいろ原因はありましたよ。でも、すべては慢心したトップが悪かったのです。

―すべてひっくるめて経営者の責任だと。

ええ。財務や人事の問題も結局はトップの責任です。当時、私は「世界のヤオハン」と周りからおだてられ、慢心していました。そして、トップの驕りが役員や社員にも伝染していった。だから危機の予兆をつかんでいたのに、対処が遅れたのです。どの企業も成功が続いているとき時の方が危ない。「すべてがうまくいっている」と勘違いしてしまい、新たな問題に気づかなくなってしまうからです。絶頂期こそ、衰退に向かう危機だということを忘れてはいけません。若い経営者には、私と同じ失敗を決して繰り返して欲しくないと思います。

―これまでに和田さんは、熱海の創業店舗の焼失、ブラジルヤオハンの撤退、ヤオハンジャパンの倒産など、数多くの苦境を経験してきました。なぜ、これらの苦境から何度も復活することができたのですか?

「無一物中無尽蔵」という母の教えを実行したからです。たとえモノが無くなっても、人間には無尽蔵のエネルギーがある。だから、会社が倒産しても、無一文になっても、人間のエネルギーはなくならない。「また復活しよう」と考え、新たなチャレンジをすればいいのです。失敗の検証と反省はすべきですが、くよくよする必要はありません。

―だから、82歳の現在もチャレンジを続けているわけですね。

今でも「これから伸びるだろうな」という事業は感覚でわかります。ただ、私は年齢的に第一線の経営者にはなれません。だから、「カンパニードクター」になろうと思っているんです。「カンパニードクター」とは、企業に処方箋を出すコンサルタントとのこと。自身が経験した成功と失敗をもとに、会社の病気を治療する医師のような存在です。ちなみに、私が「カンパニードクター」になろうと思ったのは、70歳の時。ヤオハンの倒産から2年が経った頃です。そして「カンパニードクター」になるために、10年間勉強しようと決意しました。

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