マネックスグループ株式会社 松本 大様インタビュー | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ | ページ 2

わが経営論

マネックスグループ株式会社 松本 大様インタビュー

※下記は経営者通信15号(2011年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は1999年の設立から6年半で東証一部に上場し、現在は120万以上の口座数を誇っています。なぜ、ここまで成長することができたのですか。

手前味噌になりますが、「成長し続けよう」という強い意思とビジョンがあったからだと思います。ビジネスドメインや運の要素もありますが、強い想いがなければどこにもいきません。

―成長への意思の源は起業家にあるのでしょうか。

起業家は優れたアイデアを持ち、新しい何かを創る人です。でも、起業後に会社を大きくしないことを選択する人もいます。起業家と経営者は違う。経営者には「成長し続けよう」という執念、しつこさが必要だと思います。もし、当社が現在の拡大戦略を創業期に実行しようとしたら、潰れていたでしょう。創業期は収益性の高いビジネスに集中して、お金を貯めることが重要です。でも、成長して資金やリソースを蓄えた後は、次の成長のために変化しなきゃいけません。

―変化は簡単ではありませんよね。

ええ。マネックス証券が日興ビーンズ証券と合併する時は大変でしたよ。同規模の人員数で、文化の異なる人たちと一緒になりましたから。セゾン証券やオリックス証券とも合併しましたが、日興ビーンズの時が一番大変でしたね。当時、あんな大合併をする必要はありませんでした。証券市場は好況で、当社も儲かっていた。そのまま変わらない方がラクだった。でも、さらなる成長のために変化を起こしたのです。今回のアメリカの証券会社の買収も大変ですよ。私は英語が堪能なわけでもありませんし。それでもやるのは、組織としての執念があるからだと思います。

―経営者だけでなく、組織としての執念もあるのですか?

経営者だけでは、いつか続かなくなります。経営者は重要な役割ですが、すべてじゃない。みんなが「やりましょう」と言わなければ、前に進みません。マネックスには組織として、成長のための変化を自ら起こすカルチャーがあるのだと思います。

―松本さんはもともと外資系投資銀行の敏腕トレーダーとして活躍していました。優秀なトレーダーは「運」や「流れ」を重視しているそうですが、経営者は「運」や「流れ」とどう付き合えばいいのでしょうか。

「運」は結果から振り返ってみると、非常に重要です。でも「運」の正体は、なかなかわからない。つかみようがないので、分析もできません。ただ、私の経験から感じていることならあります。それは、「運」は人見知りで、寄り添う性質があるということ。だから、運の良い人とつきあって、運の悪い人とつきあわないことが肝要です。運の悪い人とつきあうと、運が逃げていくような気がします。

―「流れ」という概念については、どう考えていますか?

まず「流れ」の存在を認めることが大切です。経済の波や人間のバイオリズムなど、「流れ」と呼ばれるものがある。それを自覚していることで、流れの変わり目に気づき、対応できるかもしれない。だから、まずは認識することが大切だと思います。トレーダーも同じですよ。「マーケットは、自分の想定とは違う動き方をする場合がある」ということを知っているトレーダーは、優秀なトレーダーになれます。「マーケットが間違っている。自分の判断は正しい」と考えるトレーダーは大成しません。

―「流れ」に対して、松本さんはどう対処しているのですか。

「流れ」だけではなく、「自分にはわからないことがある」、「間違っている場合がある」ということに対して、常にオープンマインドであるように心がけています。頭が固くなって、そういうことがわからなくなることが、最大の懸念なんです。たとえば80歳になると、47歳の今よりも生物としては衰えている。80歳の時点で衰えているということは、それより前の70歳や60歳の時には、すでに衰えていく過程にあるということですよね。つまり、もう衰退は始まっている。でも、年齢を重ねるほどに経験も積み重なっていくので、いろんなことをわかったつもりになる。周りの人も「松本さんはしっかり判断している」なんて評価するようになる。これが危険だと考えています。いまは生物的な衰えを経験が補完して、プラスの状態かもしれません。でも、いつかマイナスになる。トレーディングと同じようにピークで後継者に譲るのが一番いいのですが、ピークを捉えるのは難しい。ですから、どのように後継者にマネックスを引き継いでいくのか、綿密な計画が必要です。また、その計画は私の判断に依存してはいけません。

―経営者として、自分自身を客観視しているのですね。

欲張りなんですよ。「成長し続ける企業体をつくりたい」という欲望があるから、私の生物としての波に会社を縛りつけたくない。「自分から離れても、会社は成長し続けてほしい」という執念があるからこそ、そう思うのです。

松本 大プロフィール
1963年、埼玉県生まれ。東京大学法学部を卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券株式会社を経て、1990年にゴールドマン・サックス証券株式会社に入社。1994年、当時ゴールドマン・サックス史上最年少でゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年4月、ソニー株式会社との共同出資でマネックス証券株式会社を設立。2000年8月、東証マザーズに上場。2004年8月、日興ビーンズ証券株式会社と経営統合し、マネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現:マネックスグループ株式会社)を設立。2005年9月、東証一部に上場。2010年5月にオリックス証券株式会社と合併。2010年12月に香港のBOOM証券グループを買収・子会社化。2011 年6月にアメリカのオンライン証券会社、トレードステーションを買収。新たな事業戦略「グローバル・ビジョン」を掲げ、さらなる飛躍を目指している。

企業情報

企業名マネックスグループ株式会社
設立2004年8月2日
資本金103億9,300万円
事業内容金融商品取引業等を営む会社の株式の保有

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