エスケー化研株式会社 藤井 實様インタビュー | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ

わが経営論

エスケー化研株式会社 藤井 實様インタビュー

Vol.31

エスケー化研株式会社 代表取締役社長 藤井 實

1955年に創業し、建築仕上塗材の国内シェア54%を誇るトップメーカーへと成長したエスケー化研。国内市場の縮小が進むなか、ここ5期は増収増益を継続。2013年3月期の売上高は800億円を超え、過去最高を更新した。海外進出にも1977年から取り組み、現在はアジアを中心に9ヵ国に拠点を展開。アジアNo.1企業に向かって、さらなる飛躍を目指している。代表の藤井氏は58年もの間、同社の成長をけん引。全上場企業3,762社(2013年4月時点)のなかで、もっとも在任期間の長い社長である。半世紀以上にわたり、経営の最前線で手腕をふるってきた同氏に、継続的に会社を成長させる要諦を聞いた。

※下記は経営者通信26号(2013年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
 

―御社は創業から58年を超え、ここ5期連続で増収増益を果たしています。多くの企業が業績低迷に悩むなか、どうして成長し続けることができるのでしょう。

時代のニーズに合った製品を提供しているからです。近年の建築業界は、新築よりもリフォームの需要が多く、建物を長持ちさせるための建築塗材の需要が伸びています。また、東日本大震災の影響もあり、今後は「省エネ」「安全」「安心」への配慮が建物に求められています。そんななか、当社は国内初・世界初にこだわり、「不燃の断熱材」「鉄骨の意匠を活かす耐火塗料」「超低汚染型の塗料」といった付加価値の高い製品を開発しているのです。

―なぜ国内初や世界初の製品を開発できるのですか。

「無から有を生じる」という創業の精神が根づいているからです。もともと当社は、廃溶剤をリサイクルすることから始まった零細企業。その後、2度のオイルショックを経験したこともあり、石や砂など自然素材を使った無機質系塗料を開発してきました。資源に限りがあるからこそ、誰でも手に入るモノに着目。新素材の開発に活用することで、革新を起こしてきたのです。近年は「世の中にないものをつくる」ことを使命に、塗料以外の新しい化学建材の開発も強化。世界が求める機能性建築仕上材をゼロから生み出すため、日々研究、開発に取り組んでいます。

―藤井さんは、半世紀以上にわたって経営の最前線で辣腕をふるってきました。会社を長く続けるための秘訣はありますか。

まずは「ピンチをチャンスに変えていく」という強い意志をもつこと。そして、それを経営者が率先垂範することですね。会社を経営している限り、ピンチは必ずやってきます。そこで一歩たりとも逃げることなく、真正面から立ち向かうことが会社継続につながるのです。

―具体的な事例を教えてください。

1977年のことです。プレハブ住宅の草分けで、当社の得意先であった永大産業が突然倒産してしまいました。当時は永大産業専用の住宅塗料を開発しており、全国に営業所をつくって塗装まで担当。そのため、当社も約4,000万円の負債を背負うことに。大量の不良在庫も抱えてしまい、大打撃を受けました。シンガポールに永大産業の関連会社があるとの情報を得て、取引交渉のため急きょ現地に飛びました。しかし、そこも借金を抱えて倒産寸前だった。その夜、現地の責任者と酒を交え、ヒザを突き合わせて話しました。「大阪からシンガポールまで来て、一銭もとれずに帰るわけにはいかない」と。すると、イギリス資本の販売代理店を紹介してもらえたんです。すぐにシンガポールに駐在しているイギリス人社長に会いに行ったところ、無事に代理店契約を結ぶことができました。交渉のタイミングがよかったんですね。昼間に行ったんですが、事務所でウイスキーを飲んどるんです。酔っ払っていたから、すぐにOKが出た(笑)。それがきっかけで、シンガポールに駐在所を設置することに。つまり、大口の取引先が倒産したことが、いち早く海外進出することにつながったのです。ひいては、東南アジア進出の足がかりになりました。

―ほかにどんなピンチを乗り越えましたか。

1993年に、大きなクレームを受けたことがあります。そのときは、10~20年経ったマンションの改修需要が全国的に増加。古いマンションの外壁は傷んでいるので、塗装する前に下地を補修する必要がありました。そこで、塗り替え専用の下地補修材を開発したところ、ヒット商品になったんです。ところが、販売して1年ほど経った頃、補修材を使用したところが剥離してしまった。そのため、全国から50件ほどのクレームが寄せられることに。原因を調査すると、検証テストが不十分なまま商品化したことが判明したのです。ライバル企業に「エスケー化研は倒産するんちゃうか」と揶揄されるなか、私は問題のあったすべての現場に対応しました。そして、頭を下げ、全額補償を約束。そのうえで、修復してまわったんです。その償いは、2年ほど続きました。結果、なにが起こったかというと、当社の信頼性が以前より向上したんです。「エスケー化研は逃げることなく現場にきてしっかりと謝罪し、調査・補償のうえ無料で修復してくれる」と。それ以降、よりよい商品をより厳しく研究開発する体制づくりを徹底するようになりました。あのクレームがあったからこそ、現在のわれわれがあると思っています。

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