楽天株式会社 三木谷 浩史様インタビュー | 経営課題を専門家に相談できるサイト イチゾウ | ページ 2

わが経営論

楽天株式会社 三木谷 浩史様インタビュー

※下記は経営者通信28号(2013年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―そのほかに、グローバル企業として重要なことはありますか。

ITのプラットフォームを統一することです。これまで、私たちはいろんな企業を買収してきました。しかし、買収先の企業は独自のシステムで動いているので、統一しなければいけません。これは単に技術力の問題じゃない。組織自体が国際化していないと、なかなかできないんですよ。社内公用語の英語化を含めて、ここが肝になります。

―日本企業がグローバルカンパニーに脱皮するためには、社内公用語を英語にしたほうがいいのでしょうか。

そう思います。基本的に日本人は優秀ですが、世界には70億人以上の人材がいます。そこからベスト&ブライテストを集めなければ、世界では勝てません。たとえばNIH※には、白人のアメリカ人がほとんどいません。ヒスパニック、チャイニーズ、ジャパニーズなど、世界中から優秀な人材を集めています。当社の場合、最近入社したエンジニアの約70%が外国人。相手が世界選抜なら、こちらも世界選抜でいかなきゃダメですよ。ただし、単にスーパースターを獲得すればいいわけじゃない。日本企業の風土に合う人でなければ、どんなに優秀でも能力が発揮できなくなります。

―中小・ベンチャー企業の場合、本格的に海外進出する前に組織をグローバル化すべきですか。

原則的には、早い段階で視野に入れたほうがいいですね。日本語だけを想定したITのプラットフォームを拡張するのは、あとで大変なんですよ。ただし、これは戦略の問題です。楽天の場合、あえて最初は国内市場だけにフォーカスしてきました。Amazonが入ってこようが、Googleが入ってこようが、崩れない土壌をつくるためです。

―三木谷さんは新経連の代表理事として、積極的に政策を提言しています。中小・ベンチャー企業が新経連に加入するメリットはありますか。

私たち新経連は、公正な競争環境の実現を求めています。ですから、理不尽な法律や行政指導があれば、力を合わせてロビー活動をする。また、政府の方針も含めて、最新の情報を得やすくなるでしょう。そして本丸は、規制緩和。わが国の成長に必要不可欠であり、大きなビジネスチャンスを生み出します。たとえば医薬品のネット販売の問題に象徴されるように、日本は書面・対面原則が強い。そのような規制が遠隔教育・医療といった新しいイノベーションを阻害しているんです。一方、アメリカは電子署名ですべてのファイリングをすませようとしています。いまや論点の中心は、どう効率的にやるかということ。金融やITだけでなく、そういった政府の姿勢が新しい産業を生み出すわけです。

―日本では、なかなか規制緩和が進みません。

むしろ、新技術から既得権益を守ろうと民間側も躍起になっています。たとえば、テレビ局各社がスマートテレビ※を阻止しようとしている。どんどん江戸時代の鎖国のような状態に近づいていますよ。いまインターネットで世界が陸続きになろうとしているなかで、日本だけが取り残されている。旧来型の大企業と官僚組織には、もはや期待できません。この国をリードして切り拓いていくのは、中小・ベンチャー企業ですよ。

―業績低迷に悩んでいる経営者に対して、アドバイスをお願いします。

大きくわけて、方法は3つあると思います。1つめは「やめる」。つまり、既存事業をやめて別の事業に転換する。あるいは、縮小しながら転換することです。2つめは「改善する」。伸び悩みの原因は差別化できないことなのか、市場のポテンシャルが小さいのか。状況によって、改善の打ち手が変わってきます。3つめは「場所を変える」。売上低迷の理由は、日本というマーケットに適していないからかもしれない。ほかの新興国でビジネスをすれば、ブレイクするかもしれません。そして、この3つに共通して必要なのは、俯瞰で考えること。課題に近づいたり遠ざかったりしながら、直感と論理を組み合わせる。「ようするにどうやねん?」と自問自答を繰り返し、本質を見極めてください。

三木谷 浩史プロフィール
1965年、神戸市生まれ。1988年に一橋大学商学部を卒業後、日本興業銀行に入行。1993年、ハーバード大学にてMBAを取得。1995年に興銀を退職後、株式会社クリムゾングループを設立。1997年に株式会社エム・ディー・エム(現:楽天株式会社)を設立し、代表取締役に就任。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』を開設し、2000年に日本証券業協会へ株式を店頭登録。2004年、Jリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーに就任。プロ野球界にも参入し、50年ぶりの新規球団・東北楽天ゴールデンイーグルスを誕生させた。2005年のアメリカ進出を皮切りに、台湾、タイ、インドネシア、フランス、ブラジルなど、グローバル展開を推進。2012年にカナダKoboInc.を買収し、電子書籍事業に本格参入。同年6月に一般社団法人新経済連盟の代表理事、2013年1月に内閣日本経済再生本部・産業競争力会議の民間議員に就任。現在は楽天株式会社の代表取締役会長兼社長のほか、公益財団法人東京フィルハーモニー交響楽団理事長なども務める。近著に、経済学者である父との共著『競争力』(講談社)。

企業情報

企業名楽天株式会社
設立1997年2月
資本金1,082億5,500万円(2012年12月31日現在)
連結売上高4,434億7,400万円(2012年12月期:連結)
従業員数単体3,498 名、連結9,311名(2012年12月31日現在)※使用人兼務取締役、派遣社員およびアルバイトを除く就業人員ベース
事業内容インターネットサービス(市場事業・トラベル事業など)、金融サービス(クレジットカード事業・銀行事業・証券事業・電子マネー事業など)、通信事業、プロスポーツ事業など
URL http://corp.rakuten.co.jp/

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